風ノ景色 祈リノ彼方

-square any time-

夜音

胸の中で、

あの夜の、虫の音が、

ひたすらに鳴っている。


過去の景色なのに、

どうしてこんなに、あの真っ暗な夜とともに

一つになって、鳴り響いているのだろうか。



今はない景色が、何か輝いている。


彼らは私に対して、ナニカを贈っているわけではないのだが、

ただその音が、私を無心にさせて。


死んだ景色が、死んでいなく、


生きている。